放射線治療は副作用が過大に思われており、患者さんに選択されずらい傾向がありますが、有益な治療法です。
「放射線治療」はどうしても原子爆弾の放射能汚染を思い出してしまい、身体に悪いものと思ってしまいがちです。しかし、がんに対する放射線治療は、実際は身体の機能も損なわわず、的確にがんを攻撃できる優れものです。そのなかでも特に乳がんや肺がんに対しては、放射線治療は比較的効果が大きい治療法と言われています。
放射線治療にはリニアック装置やコバルト遠隔照射装置による方法、226Ra(ラジウム)や192Ir(イリジウム)などの放射性同位元素を使って治療する方法等があります。
放射線治療は通常4週間から6週間と期間がかかりますので、忍耐が必要です。
もちろんすべてのがん(腫瘍)を放射線で治せるわけではなく、放射線の効きにくいがんもあります。また手術が適切な場合もあります。がんの種類、進行状況によって放射線治療の選択を決定しますが、がん(腫瘍)の種類によっては、手術等よりもはるかに確実に治癒できる場合が少なくありません。
なお、現時点では放射線治療は厚生労働省の先進医療という制度に該当し、保険診療の料金に加えて、特別料金を自費で負担して頂くことになります(約70万円〜)。
放射線治療は局所治療として用いられます。すなわち手術と同様、がんとその周辺のみを治療します。
この治療では、がん細胞に高エネルギーのX線をあててがん細胞を縮小化し、消滅させることが目的です。ただし、健康な細胞にもダメージを与えるため、該当部位の照射量は限られます。
放射線治療には副作用が見られる場合があります。急性放射線障害(放射線冶療期間中に発生)と晩発性放射線障害(放射線治療終了後に発生)があります。前者の副作用は一時的なもので、大半の症状は強くはありません。症状が強い時には、薬を飲んだりあるいは吸入することにより改善します。
なおこの副作用は、放射線治療がなされている部位には発生しますが、逆に照射されていない部位には症状はめったに発生しません。従って、例えば口腔内に放射線治療をしても下痢は発生しません。晩発性の副作用が生じる可能性は非常に低いです。
なお子供の場合には晩発性障害として成長障害があり得ます。例えば、放射線治療の適用範囲にある骨は、そうでない骨と比べ成長の度合いが遅れますので、放射線専門医から説明を良く聞いてから治療を選択すべきです。
日本人ならば放射線治療をうけるように言われたら、副作用のことを心配してしまうと思います。
しかし放射線は非常に有益なのは間違いありません。また手術でも投薬でも全く副作用がないことはありません。
以下、放射線治療の注意点です。
(1)放射線治療は局所的な部位にしか効果も副作用もありません。
例えば子宮ガンの治療に適用した場合は頭髪が抜けることはありません。逆に頭部の治療の場合は、下痢を起こすことはありません。
(2)副作用には早期発生パターンと遅延発生パターンがあります。
急性の副作用を急性放射線障害といいます。これは治療部位の炎症と考えてもらってよいですが、これは治療後に治る症状です。
治療が終わってから1年〜10年後に生じる副作用は晩発性放射線障害といいます。同部位を治療する場合や特殊治療の場合はその可能性が上がるのは否めません。
(3)周囲のアドバイスに惑わされないでください。
患者によって病気はその種類や進行の程度が異なり、放射線治療の手法も適用部位も違います。基本的に放射線は治療している部位にのみ影響がありますし、採用手法も様々です。